グリーンスペインの現代建築の事例
曲線を描いた形状、通常ではありえないような構造、建物によって表現されるメタファーなど。スペインでは、未来志向の時代を刺激するようなモダニズム建築の例に数多く出会うことでしょう。アストゥリアス、カンタブリア、ガリシア、バスクの各州を旅する方のために、スペイン北部で訪れることのできる現代建築のいくつかをご紹介します。この地方は、豊かな自然環境を有していることから「グリーンスペイン」と呼ばれています。
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ビルバオ グッゲンハイム美術館
この建造物に取り付けられた33,000枚に及ぶチタン製の板と、それが織りなす曲線の形状は、まるで論理に戦いを挑んでいるようで、ネルビオン川の河岸に近づこうとする旅行者を驚かせます。建築家フランク・ゲーリーの力量により、ビルバオ グッゲンハイム美術館は、ビルバオ市で最も有名なシンボルになった上、世界有数の素敵な美術館として数えられることになりました。
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アビレスのニーマイヤー・センター
ブラジル人建築家オスカー・ニーマイヤーがスペインで手掛けた唯一の作品です。アビレスの歴史地区と対照をなす、真の前衛建築といえます。白色をした大規模な表面や曲線状の形は見る者の視線をくぎ付けにしますが、これらは音楽ホールや展望塔、ドームといった、素晴らしい施設へ向かうための入り口にすぎません。
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エルシエゴ(アラバ県)にあるワインの街マルケス・デ・リスカル
「野原をギャロップする動物」こそ、このプロジェクトで建築家フランク・ゲーリーが掲げた概念であり、それが、スペイン最大級のワインの大聖堂という形で具現化しました。この建物を前にすると、とりわけ、曲線や奇妙な形を描く外装のせいで驚きを禁じ得ませんが、そこで使用されているのはワインとまったく同じ色をしたチタン製の板であり、これらの板がブドウ畑に囲まれて光り輝いているのです。
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ガリシア文化都市
サンティアゴ・デ・コンポステーラにそびえるガイアス山の頂上は、このプロジェクトによって大きく姿を変えました。一連の優れた建造物に息を吹き込んだのは建築家ピーター・アイゼンマンです。これらの建造物群は、中世都市サンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く巡礼の道の中ほどにひっそりとたたずんでいます。見学者は、文化都市の外観を見て回ったり、ガイドツアーに参加したりできるほか、同都市で開催される展覧会やコンサートを楽しむこともできます。
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サンタンデールのボティンセンター
今回ご紹介するもののなかで最も「若い」建造物がこちらです。レンゾ・ピアノが設計した美術館で、2017年にサンタンデール湾のほとりにオープンしました。この立地は、27万個に上るセラミック製の装飾で全体を覆われたこの建物にとっては最高の場所です。というのも、ここでは、美術館がまるで埠頭であるかのように海にせり出して建っているのですから。展覧会をはじめ、さまざまな文化イベントを開催しています。
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ビルバオ・アレーナ
持続可能で、環境にやさしく、素敵な外観を呈し、アリーナとしての役割も果たす建造物です。こちらのスポーツ複合施設は、バスケットボールの試合会場と議事堂を兼ねており、もっとも責任あるモダニズム建築の一例となっています。雨水を再利用したり、エネルギーに関してコージェネレーションシステムを採用したりしているほか、かつての鉱山開発で採掘された岩や地元の木々を再現しているそのデザインのおかげで、周囲の自然に見事に溶け込んでいます。
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ドノスティア=サン・セバスティアンのクルサール・センター
二体のガラス製の巨大かつ透明な立方体が、海に面して動かなくなった二体の大きな岩を彷彿とさせます。まさにこのようにして、ラファエル・モネーオの作品はどっしりと構えているのです。現代建築を対象とするミース・ファン・デル・ローエ賞を受賞したほどの建造物であり、自然との融合という点でも秀でています。夜のとばりが降りる頃、沿岸に面したそのシルエットは輝きを放つため、街で最高のシャッターチャンスを手に入れることができるでしょう。
その他の建築について知りたい方は スペインにおける現代建築のパンフレット をご覧ください。
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